冴えない彼女の育てかた2巻感想
冴えない彼女の育てかた2巻の
感想・考察・パロディをまとめました。
- あらすじ
- プロローグ
- 第1章 可能性を生み出しただけでアウトなんだよ
- 第2章 お見舞いって、個別ルートのイベントだよな？
- 第3章 あ、でも鉢合わせイベントが起こるならまだ共通ルートか
- 第4章 うまく言えないけどさ、な〜んか違うんだよね〜
- 第5章 ラス前の章は上げて落とすのが基本ですから
- 第6章 楽よね、回想シーン
- エピローグ
- 参考資料
- まとめ
あらすじ
紆余曲折を経て、動き出した
我らがゲーム制作サークル。
ついに俺、安芸倫也の
クリエイターとしての栄光の日々が始…
「何言ってんの、
今月末までに
キャラデザなんて無理！」
「時期が悪かったわね。
ちょうど新作の
執筆にとりかかってるの」
「や、約束したよな二人とも？
ちゃんと俺のゲーム制作に
協力してくれるって！」
「確かにやるとは言ったけど、
まだその時期の
約束まではしてないでしょ？」
「つまり、私たちがその気になれば
ゲームの完成は10年20年後
ということも可能だろう、ということ」
「どうやってゲーム
作るのこのサークル！？」
メインヒロイン育成コメディ、
いきなり波乱の第2巻。
プロローグ
6月中旬。
いつも通りの視聴覚室。
わかりやすいサークル瓦解の法則。
それがこの、
見た目だけは完璧な擬態学園アイドル。
画家に見せかけたエロ同人作家。
暴虐の金髪ツインテール。
歴史の闇に封印された幼なじみ属性。
英梨々ちゃんの紹介。
それがこの、
周囲を巻き込んで
自爆する文系テロリスト。
孤高の秀才に見せかけた
毒舌の黒髪ロング。
間違いだらけの元カノ属性。
詩羽先輩の紹介。
「何しろ同人ですものね。
たとえ何年かかろうが
正解率が1パーセントだろうが
私を殺した責任を取りさえ
すれば勝ちじゃない？」
「確かにやるとは言ったけど、
まだその時期の約束
まではしてないでしょ？
そのことをどうか倫也も
思い出して欲しいわね」
「つまり、私たちが
その気になればゲームの完成は
10年20年後ということも
可能だろう……ということ」
漫画「賭博黙示録カイジ」
登場人物「利根川幸雄」の台詞。
「馬鹿言うな！
その十数年後に
完全リメイク劇場アニメで
一世を風靡するところまで
ちゃんと視野に入れてるぞ！」
「余計タチ悪いでしょそれ！」
アニメ 「新世紀エヴァンゲリオン」
「こんなのどうかな？
『倫也の愉快な仲間うち』って……」
「……ああ、いや、
それによく似た名前の
有名なサークルあるから」
同人サークル「有葉と愉快な仲間たち」
「じゃあ、こうこういうのは？
『あっかんべソフト4』って……
ほら4人で立ち上げたし」
「……それに似た名前の
大手商業メーカーあるから。
しかも3まで」
18禁ゲームブランド「あかべぇそふとすりぃ」
第1章 可能性を生み出しただけでアウトなんだよ
喫茶店でバイトをする倫也くん。
そこに現れたのは、
男(医大生)を連れた恵だった。
倫也くんは、従兄弟の代わりに、
恵と六天馬モールに行く約束をする。
しかし、倫也くんは緊張で体調を崩してしまう。
そんな近場の
ファミレス『ファミール』は、
かき入れ時であるはずの
日曜夜にもかかわらず、
未だに8分の入りだった。
欧風喫茶「ファミーユ」
「年上の従兄弟ってのはな……
あまりにも頑強な
お兄ちゃんフラグなんだよ……」
美智留編への伏線。
詳細は4巻を参照。
「え、圭一くんもゲームに登場？」
「しかもトドメと言わんばかりに
それが医大生ときた日には！」
「ついでに医大生に何か偏見持ってる？」
「加藤にはわからないよ……
たぶん、一生な」
決して埋まることのない
メインヒロインに対する距離感の差
というものがやんやんややんやん。
elf
「理不尽かもしれない。
ウザイかもしれない。
馬鹿じゃないのこいつ
とか思ってるかもしれない」
「えっと、ごめん。
それ『かもしれない』いらない……」
恵ちゃん笑。
第2章 お見舞いって、個別ルートのイベントだよな？
倫也くんのお見舞いに来る英梨々。
倫也くんは恵とのデートについて、
英梨々に相談することに。
「この間、イベントの
原稿手伝ってもらったでしょ。
そのお礼を持ってきただけ」
「あ、ああ……、先月の」
詳細はFD1章を参照。
「しっかし、
あんたが風邪引くとはねぇ……
雪が降ってそのせいでどこかの
カップルが別れなきゃいいけど」
「なるほど、六天馬モールね。
って、やっぱりデート……」
「あ〜、とりあえず話を進めようぜ？」
英梨々は、倫也くんと
恵ちゃんのデートに行き先を知る。
第3章 あ、でも鉢合わせイベントが起こるならまだ共通ルートか
倫也くんのお見舞いに来る詩羽先輩。
詩羽先輩は、倫也くんに
ゲーム制作開始を宣言する。
「そして話は核心に迫り
私と倫理君との初体験のことに…‥
本当、あの時は痛かったわ」
「ないから！初体験ないから！
痛いこと何もしてないから！」
「大丈夫よ、痛かったのは心の方だから」
詩羽先輩…‥
「加藤恵というヒロインの造型に、
少し近づいた気がする」
「え……」
ハッとして詩羽先輩を見返すと、
彼女の目に宿る光が
いつのまにか変わっている。
「性格、言動、特徴的な台詞、
趣味、好きな食べ物、好きな色……」
いつもの、冷ややかな微毒に満ちた
皮肉っぽいものとは違い、
ほんの少しだけ熱めで、
ほんの少しだけ真面目で、
ほんの少しだけ照れくさそうで……
「誕生日、血液型、スリーサイズ……
色んな情報を、彼女から
引き出すことができた」
「えっと、最後のだけ
とりあえず教えてくれませんか？」
「今は人の話を聞きなさい」
「はい……」
はい……
第4章 うまく言えないけどさ、な〜んか違うんだよね〜
詩羽先輩は、プロットの初稿を完成させる。
しかし、倫也くんは何故かそれに満足出来ない。
倫也くんはプロットに足りないものを探す為に、
メインヒロインである恵をデートに誘う。
1年の時から
『僕が1番視聴覚室を
上手く使えるんだ！』と、
この教室を有効活用しまくったせいで、
俺は機械音痴ばかりの教師陣から
すっかりニュータイプとして
重宝されてしまった。
アニメ「機動戦士ガンダム」
主人公「アムロ・レイ」の台詞
「だから気のせいだっつってんだろ
ぶっ殺すぞコノヤロウ……
じゃないごめん」
「無表情なら感情のない
キャラとして立つのよ。
あなたの場合、そこまで表情が
固定されてないから
綾◯系で押すわけにもいかない。
ほんと、ここまで
使えないキャラ初めて」
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」
登場人物「綾波レイ」
それどころか、今まで
一時代を築いてきた名作には、
必ずどこかに超展開的な
サプライズ要素があった。
嘘だっ！いや本当だ。
同人ゲーム「ひぐらしのなく頃に」
「明日、デートしよう？」
"ガタッ"
「……え？」
倫也くんは恵をデートに誘う。
この際、廊下で様子を見守る
英梨々にデートのことを知られる。
この伏線はエピローグで回収される。
第5章 ラス前の章は上げて落とすのが基本ですから
7月上旬。
倫也くんは、恵と六天馬モールに出かける。
倫也くんは恵とのデートの中で、
プロットに足りない要素を見つけ出す。
右手には、二枚重ねして、
さらに取ってを補強したペーパーバッグ。
そして左手に……
柔らかくて、暖かい、
加藤の右手の感触。
「うおおおおぉぉぉぉ〜〜〜〜！」
もちろんそのとき
俺の脳内に流れているのは
『翼をください』林原バージョンだ……
劇場版アニメ「エヴァンゲリヲン新劇場版・破」
挿入歌「翼をください」
マップでの紹介によれば、
この『アイオーン』って店が
取り扱ってる商品は、眼鏡……
「これなんかどうかな？
結構安芸くんに似合うと思うけど」
「え……？」
そう、加藤が使わないはずの
商品を扱ってる店、だった。
「レンズはさすがに……
だけど、フレームだけでも」
「お前、何を……？」
「今日、付き合ってくれたお礼だよ」
「は？」
と、加藤が選んだ眼鏡フレームが、
俺の顔にふっとかかる。
その時気づいたんだけど、
俺、いつのまにか
自分の眼鏡を外されてた。
そんな可愛らしい悪戯を、
加藤にされてたんだ……
「ありがとう、安芸くん」
恵ちゃんは倫也くんに
デートのお礼として眼鏡をプレゼントする。
恵ちゃん可愛過ぎ問題。
ちなみにプレゼントする眼鏡の色が
小説版とアニメ版で異なっている。
小説版の場合は、
黒縁の眼鏡(倫也くんは3巻から着用)。
アニメ版の場合は、
赤縁の眼鏡(倫也くんは2期11話で着用)。
「じゃあ、俺は帽子ってことで……」
「え？」
「向かい、帽子屋だし、だから……」
「……だから？」
「その代わり、
俺にはどういうのが
いいかわからないから、
加藤が選べよ？」
「…………ありがと」
なのに、なんなんだよ……
なんでこんな、萌えゲーみたいな
オチの付け方しようとしてんだよ、俺……
「うん、ありがとう、安芸くん！」
倫也くんは、
お返しに帽子をプレゼントする。
喜ぶ恵ちゃんが超絶可愛い。
けれど、だからこそ……
こんなにも楽しいからこそ、
言わなくちゃならないことがある。
「なぁ、加藤……」
「ん？なに？」
「悪いけど俺、帰り、送れない」
ここでの目的は、もう達成したから。
「今すぐ、行かなくちゃ
ならないところがあるんだ……」
今は、新たな目的に向かって、
立ち止まってなんかいられないから……
デートの目的を達成した
倫也くんは詩羽先輩の元へ向かう。
この場面、初めて読んだ時は、
送ってから行けば良いと思いました。
しかし今読み返すと、倫也くんは本気で
恵ちゃんを好きになりそうになり、
それを誤魔化すor恐れて(3巻参照)、
急いで詩羽先輩の元に向かったと思いました。
ちなみに六天馬モール(埼玉県入間市)と
詩羽先輩の故郷(埼玉県和光市)が
地理的に近いというメタ的な理由も。
第6章 楽よね、回想シーン
倫也くんと詩羽先輩の過去編。
倫也くんと詩羽先輩の
出会いから決別が描かれる。
そして現代編に戻り、
倫也くんは詩羽先輩に
プロットの不足点を伝える。
そして、一度は決別した冬。
そう、あの日はやっぱり雪だった……
何がやっぱりなのかはさておき。
その後しばらくして
『恋するメトロノーム』は完結した。
直人と結ばれたのは、2巻から登場した、
2番目のヒロインのはずの真唯だった。
詩羽先輩は、
沙由佳ENDの最終巻を完成させた。
そして倫也くんに
最終巻の先読みとダメ出しを依頼する。
しかし、倫也くんはそれを拒絶する。
拒絶された詩羽先輩は、
恋するメトロノーム最終巻を
自分をモデルにした
沙由佳ENDから真唯ENDに書き換えた。
この「恋するメトロノーム」は、
丸戸史明の「WHITE ALBUM2」が元ネタ。
実際、アニメ版の主人公とヒロインの声優が、
WHITE ALBUM2の声優と同じである。
ちなみに「純情ヘクトパスカル」の元ネタは、
この冴えない彼女の育てかたとなっている。
「生まれて初めて出来たファンは、
ウザいだけじゃなくて
ヘタレでチキンで……
まったく、どうして
こんなことになっちゃったのかしら」
「あ、今の台詞ってなんか
すっごくテンプレっぽくないですか？
『あ〜あ、私、
どうしてこんなやつのこと
好きになっちゃったんだろ』的な」
「……TAKI君、それは笑えないから
これ以上言わない方がいいわよ？」
倫也くん苦笑。
なのに途中で帰ると言い出した俺に、
少しだけ怪訝そうな顔をしてくれたこと。
けれど事情を話したら、
ちゃんと納得してくれたこと。
別れ際、笑顔で送り出してくれたこと……
恵ちゃんは見栄を張っている。
詳細は4巻を参照。
「だから、運命に負けずに
日常を取り戻す展開が欲しいんだ。
ただの巡璃エンディングが欲しいんだ。
がんじがらめな前世の因縁に何気ない
恋が勝つルートが欲しいんだ！」
過去の因縁(英梨々・詩羽先輩)に
何気ない恋(恵)が勝つルートが欲しい。
という意味。
18禁ゲームの場合、
過去の因縁があると強い。
そういう意味でも、
過去の因縁がない恵が、
英梨々・詩羽先輩に勝つのは革新的。
そして、しばらく逡巡した後、
喉の奥から絞り出したその言葉は……
「じゃあ、瑠璃は殺しちゃうの？」
「え……」
そんな、俺が推したのとは別のキャラを、
俺と同じように惜しむ声だった。
巡璃のモデルは、恵ちゃん。
瑠璃のモデルは、詩羽先輩。
倫也くんが巡璃と結ばれる物語を、
詩羽先輩に書いてもらうのは…
まるでWHITE ALBUM2で、
春希くんがかずさちゃんを想って作詞、
かずさちゃんが春希くんの為に作曲した曲を、
雪菜ちゃんに歌わせるような…
「よし、じゃあ今からプロット修正な！
とりあえず選択肢を追加で、
最後の最後まで巡璃か瑠璃か
どちらかを選べる方向性で！」
「つまり、誰を選ぶかの結論は、
最終巻まで引っ張るってことね？」
「ゲーム内ではね！」
実際、倫也くんの言う通り、
主人公が誰を選ぶかの結論は、
最終巻まで引っ張っていない。
詳細は12巻を参照。
…………なんてのは、
俺の認識が甘過ぎたとしか
言いようがなかった。
「くそっ、くそっ、くそぉっ！」
「せ、先輩……？」
「なによコイツ！なんなのよこの女！
後から出てきたくせに私の
あのひとを横からかっさらうなんて！」
笑うだけかと思ってたのに……
違う方向性もあるなんて……
「殺してやる……殺してやるっ！
あんたが私の生まれ
変わりなんて認めないっ！」
「やめてやめてやめて!?」
「愛してるのに……
こんなに愛してるのにっ！
どうして私の想いは届かないの!?」
というか、瑠璃が憑依する
可能性をすっかり失念してた。
今の詩羽先輩は、最愛の兄を
孫に取られて狂乱する修羅の妹……
詩羽先輩に瑠璃が憑依する。
ちなみに詩羽先輩に憑依するのは瑠璃のみ。
これは瑠璃のモデルが
詩羽先輩であることに起因している。
「なによ！作家は恋を
しちゃいけないって言うの？
ファンに本気に
なっちゃいけないって言うの!?」
「ってそれ瑠璃の台詞じゃなくない!?」
クリエイターの本性って……怖い。
エピローグ
倫也くんに置き去りにされた恵。
恵が六天馬モールから帰ろうとした時、
待ち伏せしていた英梨々と出会う。
「ふぅ……………………
さてと、わたしも帰ろかな」
「あ、今動かないで」
「さ……澤村さん!?」
デートの場所や日程を知っていた
英梨々ちゃんは、待ち伏せしていた。
「ね、澤村さんはさ……」
「できた！」
「え、なにが？」
「ほら、あなたの
『ムッとしたときの表情』！」
「…………」
「良く描けてるでしょ？うん、
ようやく掴んだわ、あなたの特徴」
「……わたし、全然
こんな顔してないよぅ」
英梨々ちゃんは、
置き去りにされた恵ちゃんを見て、
恵ちゃんの特徴を掴む。
参考資料
・ヒロインとイベントを
重ねて仲良くなる
オーソドックスな
恋愛アドベンチャーに、
転生的要素を付加し、
ヒロインとの絆をより強固に描く。
→『◯」、『久◯の絆」等、
過去の転生モノの要素を取り入れつつ、
この作品独自の要素も付加する。
FOG ギャルゲー「久遠の絆」
・また、
前世の記憶に介入することで、
現世の悲劇を回避するという、
避けられない運命からの
逆転劇によるカタルシスを描く。
→『YU-N◯』、
『シュ◯インズ◯ート』等を
モチーフとする。
elf
ギャルゲー『STEINS;GATE』
まとめ
2巻のまとめでした。
今回は詩羽先輩1週目ということで、
倫也くんと詩羽先輩の過去編が明かされました。
2巻は第5章が好きです。
プロットに足りないものを探すために、
六天馬モールにデートしに行くお話です。
登場シーンは少ないのに、
恵ちゃんのことしか覚えていられない…
次回は英梨々1週目の3巻で。
