冴えない彼女の育てかたGS3感想

冴えない彼女の育てかたGS3の

感想・考察・パロディをまとめました。

冴えない彼女の育てかた Girls Side3 (ファンタジア文庫)

あらすじ

停滞するサークル副代表、加藤恵の前に
新生「blessing software」の少女たちが現れる。
そして倫也と同じように、
恵もまた大きな決断をすることに。
なぜ少女は、オタクで、自分勝手な少年と
一緒にいることを選んだのか。
フラットで感情表現が適当と
言われていた少女はもういない。
ここにいるのは、
メインヒロインの座を
決して譲らない冴えない彼女ー。
サークル代表不在の裏側を描く、
少女たちのギャルゲー制作。
 

プロローグ

09月23日。

出海ちゃんは、恵ちゃんの誕生日を祝う。

 

第12.2.5話 第3次正妻戦争

9月下旬の火曜日。

第3次正妻戦争。

 

「忘れたのかい加藤さん……?」

「わたし出海……」

恵ちゃんは、伊織を無視するので、

恵ちゃんと伊織は、

出海ちゃんを伝言板に正妻戦争を行う。

 

「それでも約束したから」

「何を、ですか?」

「『他のことには目をくれずに、

  わたしたちのゲームに全力投球する』

 って、ね?」

「あ……」

ちなみに、この約束を言語化したのは恵ちゃんの方で、

倫也くんの方はわかってるとしか言っていない。

 

「あ、そういえばお兄ちゃん、

 こうも言ってたなぁ」

「え、何て?」

「もし恵さんが

 『倫也くんを信じる』って

 わざわざ強調しだしたら、

 それはきっと信じきれていない証拠だって」

「…………………………………………」

伊織が女の子だったら、

恵ちゃんでも勝てないんだよなぁ…

 

『結局、感情に流されてしまうと思うけどな』

『泣き出して、倫也君を困らせたりさ』

『君は、見た目よりも相当重い彼女だしね』

『そんなことあるわけない』

『泣くなんてありえない』

『わたしは、めんどくさくない』

『倫也君を困らせたりなんかしない』

この1日後、12巻第5章を迎える。

つまり、伊織の判定勝利の瞬間を迎えるのであった。

 

第12.4.5話 冴えない彼女の育てかたaround 30's sideb

9月下旬の水曜日。

病院で話す、朱音さんと町田さん。

 

「お前ら、いつの間にそんな仲悪くなった?」

「あんたが中退してから色々あったのよ……」

「あれか?2人で同じ男を

 取り合ってビンタ合戦でもしたか?

 なんなら詳しく話してみろ。原作料払うからさ」

丸戸史明

18禁ゲームWHITE ALBUM2

メインヒロイン「小木曽雪菜・冬馬かずさ」

 

第12.5.5話 Ota:CREATORS

9月下旬の木曜日。

blessing softwareについて議論するicy tail。

 

「よしっ!これでキャラ相関図も完成!」

「う〜ん、こうして見ると壮観だねぇ……」

「……それじゃ、読み解いて行こうか」

ここからメタ発言のオンパレード。

 

「だいたいこの主人公、なんか変じゃない?」

「このゲーム、巡璃がメインのはずだよねぇ?

 な〜んでこんなに

 先輩ヒロインと幼なじみヒロインが

 シナリオに関わってくる訳?」

「……しかも、かなり終盤まで」

はい。

 

「これだとメインヒロイン報われないよねぇ……」

「まぁ、その分必要以上に

 イチャイチャイチャイチャしまくってるから

 差し引きゼロかも知んないけど〜」

それな。

 

「……逆に、後輩ヒロインと

 イトコヒロインが不遇じゃない?」

「う〜ん、そうだね、

 シナリオ単体では

 よく出来てると思うんだけど……」

「でも、他の3人の関係には

 ほとんど組み込まれてないしねぇ」

「……これだと、どうしてもサブ感が強くなる」

「ヒロインレースについていけてないよねぇ……」

「こんなに主人公のために

 一生懸命頑張ってるのにね〜」

「……元気だしなよ、ミッチー」

「お前らちょっと表に出ろ」

某サブヒロイン達の報われなさ…涙

 

第12.6.5話 竜虎、相討ち、相哀れみ……

9月下旬の木曜日。

詩羽先輩は、英梨々を説得する。

 

「そんな先の話じゃなくて……

 今、ここにある企画書、

 見てくれないかしら?」

……その反応をよりどころに、

詩羽は、少しずつ、

少しずつ、周囲に地雷を敷設する。

「えぇ〜、いいよぉ、そういうのは」

「そんなこと言わないで。

 ちょっと悩んでるところもあるし、

 意見を聞きたいのよ」

「でもあたしは、

 あんたが1人で悩んで、

 やっとのことで完成させた、

 純度100%の霞詩子節が読みたいんだもん」

そんな、どこかで聞いたような拒絶の言葉に、

詩羽は思わず、泣きたくなるくらいに

苦い笑みを零したけれど。

これは倫也くんが「恋するメトロノーム」の

先読みを断った時と同じ台詞。

 

"ちょっとほろ苦い恋物語"

"悲恋や失恋等の苦い結末も用意する"

もう、そこで何を狙っているのかが、

"当事者"には痛いほど伝わってしまうから。

ハッピーエンドが約束されている

恋愛ゲームとは、訳が違うから。

そして、何しろ著者が、

デビュー作でメインヒロインと

主人公を引き裂いた、

悲恋の伝道師、霞詩子なのだから……

詩羽先輩は、倫也くんと英梨々ちゃんの物語を

小説にしようとする。ただし、その内容は…(察し)。

 

「全部、吐き出しなさい、

 澤村さん……前に、進みなさい」

だって彼女は、約束したのだから。

1番弟子にして、後輩の男の子と、

約束をしてしまったのだから。

英梨々の説得と、チームの再結成を。

つまり……

「そして……諦めなさい」

何もかもを、終わらせるということを。

詩羽先輩ェ…

 

「あ、あたしは……

 あたしは何ひとつ

 間違ったことなんかしてないっ!」

「あなたの、

 そのメンタリティは敬服に値するし、

 クリエイターとして重要な資質だし、

 大事にしてあげたいし、

 個人的には好きだけど……」

「けど……?」

「大間違いよ」

詩羽先輩が英梨々ちゃんに諦めなさいって言うのは、

自分にも突き刺さるんだよなぁ……

 

「だから、あなたたちはすれ違ってしまったの。

 自分たちが間違ったことを認めなかったから、

 間違ったことを話し合わなかったから」

これこそが、倫也くんが

英梨々ちゃんルートに入れなかった理由。

 

「私もあなたも……

 加藤さんとは、違ったという訳ね」

「何よそれ……まるで、

 恵に決まったみたいな言い方」

「決まったのよ……もう」

GS3で1番苦しいシーン。

純情ヘクトパスカルでヒロイン達が脱落する時は、

きっとこんな感じなんやろうな…

 

「だって倫也君、

 こっちに来ちゃった……

 1年前のことがあって、

 2度と暴走しないって誓ったはずなのに……

 なのにあなたと私のために、

 また、それをやっちゃった。

 サークルを放り出して、

 加藤さんを裏切っちゃった」

「それは、それは、けど……

 あいつにとって、あんたと、

 あたしが、大切だって証拠で……」

「それはそうかもしれない。

 けれど、彼は同時にこう思っていたはずなの。

 ……『加藤恵なら、なんとかなるんじゃないか』

 ってね……」

倫也くんが、最後に信じられるのは、

恵ちゃんだけだった。

 

「10年だよ?

 あいつと出逢って、もう10年なんだよ……っ?」

「正確には、もう11年じゃなかったかしらね」

「なのに、なんで?なんで?なんでぇっ?」

英梨々ちゃん…

 

"おめでとう澤村さん。

 あなたは、とうとうなった。

 私と同じに。彼の、崇拝対象に。

 彼が、女の子として見ることのできない、

 女の子に"

倫也くんがクリエイターとして

認めたヒロインは脱落する。

この理由から詩羽先輩には、

最初から勝ち目がなかった。

 

「ね、かす……詩羽」

「……別に私、

 フルネームでも全然嫌じゃないわよ?」

「今日のあたしのこと……許して、ね?」

「土下座してそう言わなくてはならないのは、

 むしろ私の方だと思うけれど」

「でも、でも、あんたは

 友達いなくても平気じゃない……

 あたしは、いなくなるの、嫌なの」

「澤村さん……」

「恵だけじゃ……やっぱり、寂しいよ」

英梨々の、想い人の想い人を、

それでも絶対に親友から外そうとしない、

その甘さと優しさと傲慢さに……

詩羽は、彼女の髪を

優しく撫でることで、応えてみせる。

「おやすみ、詩羽……」

「おやすみなさい……英梨々」

GS3で2番目に好きなシーン。

お互いを名前で呼び始める詩羽先輩と英梨々ちゃん。

 

第12.7.5話 ルートを譲らなかった彼女

9月下旬の金曜日。

新blessing softwareは恵ちゃんの説得しようとする。

結局、出海ちゃんの家で合宿を行う新blessing software。

 

そして、いつもいつも

芸がなくて申し訳ないけれど、

ログハウス風の喫茶店。

「え〜、なんで窓際じゃダメなの?

 あっちのが明るくっていいじゃん」

「だって窓際だと見つか……

 あ、え〜と、今朝あたりから光過敏症で」

恵ちゃんは、窓際を避ける。

7巻では、恵ちゃんは、窓際に座っていた。

つまり、あの時、恵ちゃんは、

倫也くんに見つけて欲しいと思っていた?

 

「このサークルさ、誰も彼も自分勝手でさ、

 特に代表が1番勝手でさ、

 結構皆言うこときかないんだけど、

 でも、加藤ちゃんの言うことなら、

 結構素直に従ったりしてさ」

だから恵は、そんなふうに、

静かに言葉を届ける美智留から、目が離せない。

「なのに、今になって、

 ちょっとトモと喧嘩したからって、手を抜くの?

 そんなの、トモを引きずり込んだ

 澤村ちゃんや霞ヶ丘センパイ以下だよ」

「わたし、そもそも、

 あの2人より上だったことなんて……」

「だからこそ、あの2人と張り合うために、

 ずっと手を抜かずにやってきたんじゃないの?」

恵ちゃんがこれまで頑張って来た理由は、

詩羽先輩や英梨々ちゃんに負けない為

だったことが明かされる。

 

「あ〜駄目、見るなぁぁぁ〜!」

「え?」

と、美智留の叫びも虚しく、恵が手にしたその紙は……

加藤恵説得計画(第3稿)

20××/09/×× 霞ヶ丘詩羽

美智留ちゃんは、詩羽先輩のシナリオに従っていた。

英梨々ちゃんの説得も恵ちゃんの説得も、

詩羽先輩頑張り過ぎ問題。

 

どうしてあの頃……

巡璃シナリオの序盤に、

彼女は彼を受け入れたのか。

なんで、あんなオタクで、

自分勝手な男の子と

一緒にいることを選んだのか。

そう考えると、やっぱり序盤の巡璃は、

馬鹿で考えなしだったとしか思えなくて。

でも、でも、だったら……

どうして今、そこまでわかっていて、

自分は、いや、巡璃は……

この、終盤の、主人公と結ばれる展開に

進むことを選んだのだろうか。

1年以上も、ずっと、主人公と離れずに、

一緒にいることを、選んでしまったのか……

この章は、16冊目にして初めて、

恵ちゃんの心情が描かれる。

冴えない彼女の育てかたの中で

最も感動する章なんだよなぁ。

 

イベント番号:巡璃08-2

種類:選択イベント

条件:8週目土曜日、

   詩羽06発生済みで、

   巡璃を選択した場合に発生

概要:巡璃とショッピングモールでデートするも……

詳細は2巻を参照。

 

「え〜、けどさぁ、巡璃ってその『キャラが薄い』

 ことが売りなんじゃなかったっけ?」

「それは序盤だけだよ氷堂さん。

 この段階での巡璃は、

 嫉妬もするし、

 嫌な態度も取るし、

 ずるい駆け引きもするんだよ」

「え!この段階でそこまでするんですか巡璃!?

 それはちょっと、

 いえかなりキャラ崩壊なような……」

「だよねだよね〜!」

「出海ちゃん……あなた、どっちの味方なの?」

「ちょっとキャラ崩壊しかけてますよ恵さん!?」

恵ちゃんは、2巻時点で既に

ずるい駆け引きをすることが明かされる。

 

イベント番号:巡璃13

種類:選択イベント

条件:12週目日曜日、

   英梨々10発生済みで、

   巡璃を選択した場合に発生

概要:英梨々の看病を隠していたことで、

   巡璃と初めて喧嘩してしまう

詳細は6巻を参照。

 

「嫉妬なの?」

「嫉妬なんですか?」

「違うよ全然違うよ」

恵ちゃん笑。

 

「わかんないなら、三択で答えてもらおうか?」

 1. 今まで通り、

   主人公が正直に話さなかったのが悪い。

 2. 本当は、親友が抜け駆けしたのが悪い。

 3. それとも、主人公が親友に傾いたのが悪い。

恵ちゃんの答えは、3択のうちの1つではなく、

3者のうち、どのくらい悪いのかの"比率"だった。

この比率は、GS3では明らかにされていない。

しかし、冴えない彼女の育てかたb

最終話で明かされた説がある。

最終話、恵ちゃんは倫也くんと

六天馬モールに来た理由を比率で答える。

その答えは、

1. 安芸くんを励まそうとしてた:3割

2. 本当は、六天馬モールに来たかった:2割

3. 前に来た時、一緒に帰れなかった:5割だった。

これがこの質問と関連しているとすれば、

1. 今まで通り、

  主人公が正直に話さなかったのが悪い:3割

2. 本当は、親友が抜け駆けしたのが悪い:2割

3. それとも、主人公が親友に傾いたのが悪い:5割

となる。

 

イベント番号:巡璃19

種類:個別イベント

条件:巡璃18の直後に発生

概要:巡璃と主人公、はじめての……

詳細は11巻を参照。

 

「……てことはさ、つまり加藤ちゃんは、

 トモとキスした可能性を疑われてる方が、

 普通の状態だと思ってるってことだね?」

美智留ちゃんの鋭過ぎる質問。

勿論、詩羽先輩が裏から指示している。

 

「じゃ、今度はみんなに聞くよ?

 ……わたしと倫也くん、付き合ってると思う?」

「ああああああああああああああ〜〜〜!」

「ひえええええええええええええ〜〜〜!」

……というか、

詩羽と正面切って対決することを選んだ。

そのくらい、実はブチ切れていた。

怒る恵ちゃん。

 

「その質問だけどさ……答えたら、

 もちろん、正解教えてくれるんだよね?」

やがて口を開いたのは、美智留……

「答え合わせ、させてくれるんだよね……?」

いや、それはただ、

美智留の口を借りているだけの、遠隔攻撃で。

「別に、付き合ってないよ……"まだ"」

「うえええええええええええええ〜〜〜!」

「ふわああああああああああああ〜〜〜!」

圧倒的な攻撃力。

 

「巡璃は……」

『巡璃……?』

「ええ、巡璃のことです」

今から話すのは、

巡璃のことで恵ちゃんのことではない作戦。

 

「巡璃は、仲間が大切なんです。

 親友が好きなんです。

 ……そういう"設定"なんです。

 美術部の親友は、

 なんだか心配で、目が離せなくて。

 新入生の後輩は、

 その前向きさに憧れてて。

 軽音楽部の同級生の、

 明るさと大らかさに引っ張られて。

 けれど1学年上の先輩だけは、

 色々見透かされるから、ちょっと苦手で。

 でもね霞ヶ丘先輩……

 これは、ギャルゲーなんです。

 主人公とヒロインの、恋の物語なんです。

 だから、ヒロインは、いつしか、

 主人公のことを好きにならなくちゃ……

 友達と主人公を天秤にかけて、

 主人公を選ぶ選択を、

 しなくちゃならないんです。

 それが、メインヒロインの、

 メンタリティなんです。

 ……これも、そういう"設定"なんです」

けれど、キャラクターに譲った、

そのメインヒロインのポジションを……

他の実在の人物には、決して譲ろうとはしなくて。

ルートを譲らない恵ちゃん。

 

『主人公のこと、許すの?

 何度も、巡璃を裏切ったのに?

 ふったはずのヒロインたちのこと、

 見捨てられないのに?』

「巡璃は、ね……

 きっと、そういう女の子だよ」

 

「叶巡璃っていう、キャラクターはね……

 相手がすっごいイケメンでなくてもよくて。

 誰よりも深い愛情を注いでくれなくてもよくて。

 普通で、よくて。

 でも、ちょっとくらいなら、

 普通じゃなくてもよくて。

 迷惑でも、変でも、空気読んでなくても……

 なんとなく、嫌じゃなければそれでいいやって。

 そういう、フィーリングみたいな

 ものだけで、いいやって」

 

「だって、嫌じゃないんだから仕方ない。

 傍から見たらおかしくたって、

 不釣り合いだって、

 別に、嫌じゃないんだから仕方ない。

 そういうの、

 初めてだったんだから、別にそれでいい。

 もしかしたら、

 次はもっと嫌じゃない人が現れるかもしれない。

 でも、その次のために、

 今の楽しさをわざわざ手放す

 冒険をしたいって思わない。

 だってわたし、

 めんどくさがりやだもん。

 わたしのこと、

 めんどくさいって最近よく言われるけど、

 自分自身は、めんどくさいことは、嫌だもん」

巡璃の話をしていたはずが、

どんどん恵ちゃんの話に変わってゆく。

 

「あなたにとって、倫也くんは、

 ものすごく特別な人だったのかもしれない。

 けれどわたしには、

 全然特別じゃなかった。普通だった。

 だからこそ、わたしは、

 彼がいいな……って思った」

16巻目にして初めて明かされる恵ちゃんの心情。

この台詞を5年待ってたんや…

 

『プロとして、教えてあげるわ、加藤さん……』

それから、

詩羽の声がスマホから再び流れるまでに、

3分ほどの時間がかかった。

『物語に置いて、"転"が、

 なくちゃいけないのかって、

 あなたは聞いたわね?』

恵が少し落ち着いたのを

見計らったその声は、

さっきよりも少し落ち着いて、

さっきよりも少し優しくて。

『答えはね……

 あってもいいし、なくてもいい。

 そんなのは、物語の神様の勝手よ』

けれど、内容は、

相変わらず、少しだけ辛辣で。

『ただ、あなたの物語には、

 たまたまあったというだけの話。

 それは、意地悪な創造主によって

 周到に用意されたものかもしれない。

 あるいは、運命の神様の気まぐれで

 突発的に起こったものかもしれない』

『けれど、そこにいる私たち……

 キャラクターにとっては、

 それは、ただ日常に起こった"事実"よ』

『そのことを嘆いていても、

 否定していても始まらない。

 ただ、粛々と、ハッピーエンドに

 向かって歩いていけばいい。

 今ある"転"を、普通の努力で

 乗り越えていけばいい。

 それは、単なる日常の営みよ』

詩羽先輩の1番好きな台詞。

 

『という訳で、どうする?加藤さん』

「どうするも、こうするも……」

『倫理君を、返して欲しい?』

「というか、もともと倫也君は、

 『blessing software』のものですから」

『ん〜……もう一声、欲しいところね?』

「だから倫也君はわた……の、

 もの、あ、だからっ、えっと、その……」

この台詞を5年間以下略。

 

エピローグ

13巻プロローグ。

 

「僕たち『blessing software』は、

 もう、決して折れたりしない……

 いずれ同人業界を制し、

 鳴り物入りで商業へ殴り込みだ」

「倫也先輩がその気になるかなぁ?

 というか、恵さんがそこまで付き合うかなぁ?」

「う、う〜ん、確かにその通りだ。

 馬を射んとすれば、

 まずは将からってことだよなぁ」

「お兄ちゃんそれ立場間違って……ないかぁ」

出海ちゃんと伊織。

 

「ね、センパイ……」

「何よ?」

「……もう、泣いていいよ?」

「っ……」

詩羽先輩と美智留ちゃん。

 

「だって、

 彼の側にいたことで、人と繋がれた。

 繋がった人たちと、同じ夢を見て、

 同じ喜びを味わうことができた。

 何より、生涯の盟友とも呼べる

 大切な仲間ができた。

 ちょっとした悪友みたいな、

 どうでもいい仲間もできた。

 ……3年前、黒髪ロングの雪女と

 呼ばれていた女には、過ぎた3年後よ」

やっぱり詩羽先輩格好良い。

この台詞、WHITE ALBUM2の最初の台詞かな。

勿論、今回は

「どうしてこうなっちゃうんだろう」とは続かない。

 

いや、それは結局、

絵の中に登場させることは、やめた。

その代わり、大サービスとばかりに、

実際には見えていないはずの流れ星を書き加える。

視界がぼやけて、

目に見える星の形がおぼろげになってきても……

それでも英梨々は、

頭の中にあるイメージを総動員して、描き込んでいく。

自らの頰を零れる、流れ星を……

英梨々ちゃん…

 

彼女をからかっているふりをしつつも、

その手を、指を、強く、強く、握ってきた。

思わず『痛いよ』って、

笑いながらからかってしまいそうなくらい、

彼の方から、一方的に、蹂躙してきた。

……少なくとも、彼女の脳は、そう認識していた。

お互いに強く握っている。

詳細は12巻エピローグを参照。

 

何を言われても、フラットに。

裏切られても、泣いてはいけない。

報われても、泣いてはいけない。

明後日の方向に飛んでいっても、

やっぱり泣いてはいけない。

でも、呆れるふりなら、許される。

苦笑なら、優位に立てる。

そこに皮肉の1つも利かせられれば、最高だ。

向こうは、まるで駆け引きの使えない相手だけど。

それでも、万全を期して、勝たなくてはならない。

弱みを見せるなんて、あり得ない。

「俺……恵が好きだ!3次元のお前が好きだ!」

「その『リアルの』っての、いらなくない?」

「…………ぉぃ」

だって彼女は、この数日間……

その程度の仕返しをしても

全然バチが当たらないくらい、

彼のことを、想い続けてしまったのだから……

12巻エピローグの恵視点。

控えめに言って最高です。

 

まとめ

冴えない彼女の育てかたGS3のまとめでした。

12巻とGS3は、本当に密接に関わっているので、

GS3を読んだ後に、

もう1度12巻を読むと感慨深いです。

 

次回は冴えない彼女の育てかた最終巻となる13巻です。

12巻とGS3で既存の伏線はほぼ回収した気がします。

13巻では、何が描かれるんだろう。

・第1章:FCのその後

・第2章:冴えない彼女の育てかたのその後

・第3章:打ち上げ的な

・第4章:倫也君の誕生日イベントとか?

・第5章:卒業式

・第6章:例の坂道

「わたしは、あなたが望む、

 メインヒロインに、なれたかな?」

こんなの約束された最終巻やんけ……

 

冴えない彼女の育てかた13巻は、明日発売です。

勿論、明日中に感想を挙げます。

最後までよろしくお願い致します。