冴えない彼女の育てかた6巻感想

冴えない彼女の育てかた6巻の

感想・考察・パロディをまとめました。

冴えない彼女の育てかた6 (富士見ファンタジア文庫)

 

あらすじ

俺、安芸倫也と詩羽先輩が

魂を込めたシナリオが完成し、

同人ゲーム製作は最終段階に突入。

唯一の懸念は、

英梨々担当の原画パートなのだが…

「あたしが遅れてるのは

 あんたたちがシナリオ

 遅らせたからじゃない!

 しかもルート追加で

 一気に原画増やしてっ!」

とはいえマスターアップまで1週間。

切羽詰まったこの状況を打開すべく、

英梨々は自主的に

カンヅメになることを決める!

霞ヶ丘詩羽氷堂美智留も、

 みんな叩き潰してあげるから」

そして迎えたコミケ当日。

我らが「blessing software」と

伊織の「rouge en rouge」、

ついに激突のとき…なのだが!?

 

プロローグ

12月上旬。

いつも通りの視聴覚室。

 

第1章 ライターの打ち合わせって本当にこんな感じっすよ

いつも通りの喫茶店。

倫也くんと詩羽先輩は、

告白された恵ちゃんについて議論する。

恵ちゃんは、今はサークルが大事で、

他のことは考えられないと答えた。

 

「いや、それはリアルでも主人公

 みたいにモテモテ野郎の思考だろ。

 俺みたいなリアル世界で

 サブキャラにしかなれないキモオタは、

 さすがにそういう場面だと

 脇に追いやられる当て馬の方に

 感情移入しちゃうよ」

「…………よく言った……

 マジよくぞ言ったこの◯◯◯……っ」

「◯ねばいいのに……

 本当、◯ねばいいのに……っ」

倫也くん笑。

 

「彼女がどれだけ嬉しそうに笑っても、

 それは心からの笑みじゃない。

 彼女がどれだけ自分を見つめていても、

 それは本当の思慕じゃない。

 彼女がどれだけ愛の言葉を囁いても、

 それは真実の愛じゃない。

 そんな哀しい"偽物の恋"の物語、

 略して……」

古味直志

漫画「ニセコイ

 

第2章 ギターで口説こうとか痛々しくて見てられない

倫也くん達は、倫也くんの家に向かう。

そこで待っていたのは、美智留ちゃんだった。

美智留ちゃんは、皆の前でED曲を歌い上げる。

 

「それでさ、トモ。

 それで、ゲームが完成したら……」

「なんだよ?」

「本当に、みんなで幸せになれるの?」

良い質問ですね。

 

「あたし、わかったよ……

 あのコが1番の味方で、1番の敵だよね」

美智留ちゃんは恵ちゃんの恐ろしさに気付く。

詩羽先輩、美智留ちゃんは、

恵ちゃんのことをライバル視し始める。

これに対して、英梨々ちゃんだけは、

恵ちゃんのことを意識していない。

 

第3章 いや、別に聖地化を狙ってるわけじゃないですよ?

英梨々ちゃんは、倫也くんの家を訪れる。

そして、ゲームを仕上げる為に、

カンヅメになることを宣言する。

 

「キャラの言動はぶれないし、

 ストーリーも変な

 方向に行ったりしない。

 突然の鬱展開とか、

 いきなりのジャンル変更とか、

 唐突な昔の女との再開とか、

 そういう下品な飛び道具は使わない」

「最後のはセーフだろう最後のは」

丸戸史明

18禁ゲームWHITE ALBUM2

 

……ただ俺が、

その場所の記憶と

ともに思い出すのは、

別荘に持ち込んだ

ドリー◯キャス◯でプレイした

『サ◯ラ大◯』シリーズだったり、

全話マラソン視聴した『君◯望◯◯◯』や

『◯月◯◯姫』のアニメだったりで、

山奥の別荘に1週間も泊まっておきながら

朝から晩まで何やってたんだと

自分を省みずにはいられない。

セガ ギャルゲー「サクラ大戦

age 18禁ゲーム君が望む永遠

TYPE-MOON 18禁ゲーム月姫

 

ふと気付くと、

いつの間にか美智留のギターの曲が、

やたらとノスタルジックな

別れの歌っぽい旋律に替わっていた。

というか、『秒速◯センチメートル』

の主題歌に替わっていた。

やっぱ絶対聞こえてるだろ、お前。

新海誠

映画「秒速5センチメートル

 

第4章 世の中で1番信用できない人種、それがクリエイター

英梨々は那須高原に旅立つ。

しかし、英梨々との連絡が途絶えてしまう。

ある日の深夜、英梨々から電話が掛かってくる。

 

「もうホント信じられない。

 わたしが丸1日掛けて描いた絵を

 5秒見ただけでリテイクするんですよ?

 しかもその理由が

 『これじゃ売れないから』

 の1言だけ!」

8巻への伏線。

 

「あいつは、

 なんだかんだで暴走はしない。

 どこかでしっかり計算してる。

 ちゃんと、こっちの世界に

 帰ってこれる奴だよ」

これは倫也くんの願望。

倫也くんはずっと、英梨々が

自分の元へ帰ってくるのを待っていた。

 

それでわかってしまった。

本当はもう、英梨々は

俺の力なんか借りる必要がないんだって。

俺がいなければ何もできない、

弱い女の子なんかじゃないんだって。

……いや、そんなのは何年も昔に

わかっていたことなのに。

倫也くんは、英梨々ちゃんに雲の上の

イラストレーターになって欲しくなかった。

そうなってしまうと英梨々ちゃんは

倫也くんの手の届かない存在になってしまう。

だからこそ、第6章で、

倫也くんはマスターアップを見送ってしまう。

 

第5章 多分、このシリーズ全体で1番短い章

倫也くんは、英梨々ちゃんからの電話を受ける。

それは全ての原画を完成させた報告だった。

しかし、その直後、英梨々は倒れてしまう。

 

第6章 英梨々・スペシャルイベントその2

倫也くんは、1人で那須高原へと向かう。

彼は、英梨々ちゃんの看病を優先し、

マスターアップを見送ってしまう。

倫也くんと英梨々は那須高原で昔話をする。

その中で、彼らは本当の仲直りを果たす。

 

「僕にはね、倫也君……

 君がただ柏木エリを、いや、

 澤村英梨々を独占したがってる

 ようにしか思えないよ」

倫也くんにとって、

英梨々ちゃんは本当に特別だなぁ。

 

 

このままじゃ、

英梨々は、行ってしまう。

俺が憧れるべき、

凄いクリエイターになってしまう。

俺を、置いていってしまう……

倫也くん自身、

尊敬出来るクリエイターを恋愛対象として

見られないことを自覚している?

倫也くんの初恋の相手、

というか今でも1番か2番の英梨々ちゃんが、

自分の手の届かない存在になることを恐れる。

 

『お前、実力不足だよ!』

『今まさに足りないんだよ。

 凄くないんだよ!』

あの夏の日に、花火大会の夜に、

英梨々に告げたその言葉は。

それは、叱咤でも激励でもなく、

ただの願望だった。

全部、嘘っぱちだった。

倫也くんの3巻での発言は、

ただの願望だったことが明かされる。

 

だって俺が好きだったのは、

英梨々の絵でも、才能でもなかった。

だから俺は、あれだけ激しく

英梨々の成長を煽った俺は。

心の底では、そんなこと

望んでなんかいなかった……

この時点では、恵ちゃんよりも

英梨々ちゃんの方が好感度が高い。

勿論、この時点では。

 

そんな、

クリスマスイベントの終了とともに……

ゲームの中の、そして現実の聖なる日に、

俺たちは、8年ぶりの仲直りをした。

3巻で約束したように、

英梨々ちゃんは倫也くんの1番の絵師になった。

英梨々ちゃんは、倫也くんの1番に

なれたからこそ仲直り出来たと考えている。

しかし、倫也くんは、英梨々ちゃんが

尊敬するクリエイターになってしまっても

手の届く存在でいて欲しいから仲直りをした。

詳細は10巻を参照。

 

第7章 あ、あれ?この章がクライマックスのはずじゃ……?

冬コミ3日目。

blessing softwareは規模を縮小したものの、

無事にコミケに出店する。

そして物語は第2部に向けて、助走を始める。

 

「ちょっと知り合いに

 あったから挨拶してただけよ」

詩羽先輩は、この際に

朱音さんと会っている。

詳細はGS1を参照。

 

「それに春になったら、

 霞ヶ丘詩羽もいなくなるし。

 そしたらもうこのサークルに

 大した敵はいないし」

詩羽先輩と美智留ちゃんは、

恵が1番のライバルであると認識している。

それに対して、英梨々ちゃんは

恵ちゃんをそのように捉えていない。

これは恐らく、英梨々ちゃんの中で、

倫也くんが好きになるのは、

1番のクリエイターだけだと誤解しているため。

詳細は7巻やGS3を参照。

 

「わたしは、安芸くんが

 正しいことをしたと思ってる。

 それにわたしは、

 安芸くんのこと、友達だと思ってる。

 でも、許せない。

 友達だと思っているからこそ、

 今度のこと、まだ消化しきれない」

恵ちゃん……

確かに恵ちゃんは、困った時は連絡してね、

那須高原まで駆けつけると言っていた。

それにも関わらず、倫也くんは何も連絡せずに、

全てを1人で背追い込んだ。

GS3を読んだ後だと、

友達だと思っているからこその部分は違和感が…

 

エピローグ

恵ちゃんと仲違いしてしまった倫也くん。

英梨々ちゃんは那須高原で描いた絵が

再現出来ないことに気づいてしまう。

 

まとめ

6巻は英梨々ちゃん2週目でした。

またクライマックスと思われた

冬コミにあっさり辿り着きました。

 

6巻では、倫也くんの

英梨々ちゃんへの想いが描かれます。

3巻の台詞が嘘だったこと、

そして3巻で出来なかった仲直りを果たします。

本当に、倫也くんにとって、

英梨々ちゃんは特別な存在なんだなと感じました。

 

次回は第1部完となる第7巻です。

表紙を飾るのは満を辞しての恵ちゃんですが、

その前に冴えない彼女の育てかたFDが……